それは、ほんの戯れ
身体が欲する休息に、彼の瞼が抗いきれずに下がり始める。
薄明かりが灯る室内。所々に散る紅の跡。
その様を、ゆっくりと眺めていた。
いつの間に、眠っていたのだろう。
浮上した意識と共に、温もりを求めて手を伸ばす。
うすぼんやりとした視界に、ただ一人を映したくて、重たい瞼を抉じ開ける。
高遠と交えたベッドに、一人きりでいることに気が付いて、慌てて飛び起きた。
「どうしたんですか」
身を起こした衝撃と、思いも寄らないところからの問いかけに、返事がすこし遅れる。
「……高遠が、いなかったから」
「いるでしょう。ここに」
月明かりに映える瞳に見詰められながら、問いかけた。
「どうして、そんなところにいるんだよ」
平然と言葉を返す男に腹が立つ。
それにしても、どうして俺の足元にいるんだろう。
ベッド裾に、肘をつき悠々とこちらを見ている相手を睨みつけた。
「なかなか、いい眺めですよ」
「何が見えるんだよ。そんなところから」
「シーツに包まって眠るはじめの身体ラインが見えます」
「はぁ?」
「偶には、違った角度から眺めるのもいいものですよ」
この台詞に、脱力する。
はぁ、そうですか。
俺の身体を見て、楽しんでいたわけね。
阿呆らしい。
寝よ、寝よ。
もう一度、眠る為にベッドに横になる。
目を閉じる寸前、影が覆いかぶさった。
「さっきのところで見てろよ」
「見るだけでは、飽きてしまったので」
「だったら、添い寝。これ以上は無理。勘弁してくれ」
「いいでしょう。はい。こっち」
腕の中に抱き寄せられる。
そうだよ。
最初からこうしてくれれば、飛び起きたりしなかったのに。
ようやく、居心地よい場所に辿り着けたことに、ホッとして息を漏らす俺だった。
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『咲く花』の里見さまから頂いた、短編でこざいます。
竹流の日記絵で、作ってくださったんですよ~v
このお話を読んでから、あの日記絵はこのシュチエーションにしか見えません(笑
タイトルは、好きなのをつけてくださいということだったので、悩んだ末にこうなりました。
イメージを崩してなければいいけれど…(汗
この萌え萌えなお話を書いてくださった、里見さまのサイトはこちらv
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明金・高金のお話が沢山ありますv
07/06/25UP
再UP14/08/25