ご注意

表の作品ですが、かなり、シチュエーションが怪しげです。
下品な表現もあるかもしれませんが、それでもOKな方のみ、このままスクロールしてください。












Change! Ⅰ





たぶん、それは夢から始まったのだと思う。

その時、おれは夢の中で、高遠と一緒に何処だかわからない場所に居て、そしてそこにはもうひとり、見知らぬじーさんがおれたちの傍に立っていた。
白くて長い髭と、これまた、白くて眼が隠れるくらい長い眉毛。
おれは最初、サンタクロースかと思ったんだけど、なんだか白くて、着物のようで着物で無いような妙な服を着ているから、いわゆる仙人てヤツか何かなのかもしれない。
まぁ、夢だし、何でもあり? とか、思ってて。
だから、高遠とおれはじーさんには興味を示さずに、手を繋いだまま、きょろきょろと辺りを見回していたんだ。周りは深い霧に包まれていて、ただ白い靄が見えるばかりで、足元すら全然見えない、すごい濃霧だった。

無視されたのが寂しかったのか、突然、じーさんが何かの合図のように、手を上げた。
おれは、『こんなトコで、タクシーでも止めんのか?!』と思ったけど、どうやら、違ったらしい。
突然、風が吹いてきて、辺りの霧が少し、薄くなった。
おお、じーさん、ほんとに仙人だったんか。
おれが感心していると、やがて、薄ぼんやりと、周りに木立のような黒い影が見え始め、全く見えなかった足元も、はっきりし始めた。

よく見ると、おれたちはどうやら、湖にせり出した、岩の上に立っているようだった。
なんでこんな所に、いきなり立っているのかと、高遠と顔を見合わせる。
すると、じーさんが突然、喋りだした。
おお、あんた、喋れたんだ。

「ここに入るのは、どちらかな?」

なんのこっちゃ。
困惑を隠せない表情でおれが居ると、高遠もそうだったんだろう、不機嫌そうに口を開いた。

「どういうことですか? どうしてぼくたちが、こんな気味の悪い湖に入らなきゃいけないんです?」

気味の悪い湖。
そう、この湖は、なぜかドピンク色なのだ。もう、自らが発色しているような、鮮やかなドピンク。
マジ、気持ち悪いって。
じーさん、人に言うなら、まず自分が入れって。入って安全を保証しろって。

「え~と、おお、確か、あんたの方じゃったな」

人の話を聞けっ! じじいっ!
マイペースに勝手に話を進めようとするじーさんに、おれは、眩暈を起こしそうだった。
なんせじーさんは、おれの手を引っ張ると、強引に湖に突き落とそうとするんだから。
慌てたのは、高遠だ。

「何をするんですか! はじめはかなりの運動音痴なんですから! こんなところに突き落とされたら、沈んで浮かんで来なくなってしまうじゃないですか!」

おい、高遠。
ものは言いようって、言葉を知ってるか? 
何も、そんな言い方しなくても…と、思ってたら。
いきなり、じーさんは高遠を突き飛ばした。
すげえ! じーさん! 年寄りの割には素早いぜ! じゃねえ!
あっ、と思う間も無く、高遠の身体は、このドピンク色の湖の中に落ちてしまったのだ。
うわあ! ドピンク色の水しぶきが上がったって!

「た、たかとお!」

おれは、湖の方へ駆け寄ろうとして、じーさんに引き止められた。

「大丈夫じゃよ。あんたは元の世界に帰るがよかろう。あの男も、直にもどる」

そう言いながら、じーさんは、おれの頭を持っていた杖で殴った。
なんなんだよ、あんたは!
さっきから、やることがいちいち唐突過ぎて、ついていけねーって!
って言うか、高遠返せ!!!

暗転し始めたおれの意識の片隅で、じーさんの声が、微かに聞こえた気がした。

「本当なら、あんたが入らないと駄目だったんじゃがなあ… あの男では、無理じゃろうて…」

何のことだよ!
そう、頭の中で考えたのを最後に、おれの意識は闇に飲まれてしまった。



瞼に光りを感じて、眠っていた意識が覚醒し始める。
耳が、小鳥の囀りを捉えて、目覚めを促している。
おれは大きく伸びをすると、仕方なく、眼を開けた。青いカーテンの越しに差し込む、朝の光が、淡くベッドの上まで伸びている。横を見ると、いつもならおれよりも早起きのはずの高遠が、まだ、毛布の中に潜っていた。
うつぶせになって、顔だけおれの方に向けて、穏やかな寝息を立てている。
無防備な、高遠。
おれにだけ見せる、その無邪気な寝顔を眺めているだけで、おれは幸せな気持ちになれる。

綺麗だなあと、つくづく、思ってしまう。
これが男の顔だとは思えないような、中性的な造りだ。
そっと頬に触れてみると、高遠の瞼が、震えた。そして、ゆっくりと長い睫が擡げられ、綺麗な月色の眼差しが、まだ、夢でも見ているかのように、ぼんやりとおれを見つめる。やがておれを認めると、ニッコリと笑って、おれの方へと手を伸ばしてきた。…んだけど、あれ? 何か、いつもと違うような?
白くて、先細りな指を持つ綺麗な高遠の手。それは、間違いないんだけど。何か、どこかが違うような。
おれが、戸惑っていることに気がついたんだろう、高遠は、うつぶせのまま、肘をついて上体を起こした。その一連の動作に、掛かっていた毛布が肩から滑り落ちる。
おれは、それを見て、さらに戸惑いを隠せない。
高遠は首を傾げて、口を開いた。

「どうしたんですか?」

高遠も、その時気がついたんだろう。自分の声が、いつもと違うことに。
咄嗟に自分の喉を押さえて、そして、普通ならそこにあるものが、無いことに気付いたらしい。

「えっ? あれ?」

不思議そうに、声を上げて。
そして次に、自分の胸元に視線を落として、少しの間、固まっていた。

「………これって…バスト…ですよね?」
「………たぶん…」

うつぶせて、肘で上体を起こしている高遠の胸元には、りっぱな谷間ができていた。
それは、横に居るおれにも確認できたし、横から見ても、それは女性のものと同じように見えた。
お互いに、信じられないものを見たような顔をして、呆然と、顔を見合わせるしかなかった。

今、おれの横にいる高遠は、白くて滑らかな肩を無防備におれの前に晒して、大きく目を見開いて、その赤い唇を、少し、開いていて。
細くて長い首には、普段見慣れている喉仏は見えなくて。そのせいだろうか、高遠の声が、いつもよりもずっと高くて、少し低めの女性の声にしか聞こえない。でもって、その…腕の下から覗いてる…胸は…どう考えても…おっぱいだろ!

おれが、真っ赤になって、高遠から少し離れようとすると、

「逃げないでください!」

と、腕を掴まれた。…のは、いいんだけど。
見えてる! メッチャ、見えてるって! おっぱいが!
白くて丸い、柔らかそうなその物体は、結構、質量がありそうで、おれ好み…いやいや、何を考えとるんだ! 
…でも、その先についてる淡いピンク色の尖りも、すッごく触ってみた…いやいやいや、そんなこと考えてる時じゃねえって! おれ!

真っ赤になって、挙動不審になっているおれを、少しの間、高遠はおれの腕を掴んだまま不思議そうに見ていたが、やがて、その整った赤い唇を笑みの形に歪めた。
うおっ?! 高遠! 色っぽさ倍増してるっぽいぞ!
もう、それだけで、おれはさらに赤く染まってしまって、もう、見ていられなかった。
ボフッと枕に倒れこんで、顔を埋めて、そして、少し恨めしく思う。

-なんで今日に限って、裸で寝てんだよ…たかとお…

よく考えると、何か、悩むポイントがずれてるっぽいんだけどな。パニクってる時って、まあ、こんなもんだよ。
とか考えてたら、さらに高遠の声が聞こえた。

「あっ! こっちも無くなってる!」

もう、なにが無くなってるのか、なんとなく想像がついて、おれは怖くって枕から顔を上げられない。すると突然、おれの腕を掴んでいた手が離れて、ばさっと音がしたと思ったら、次の瞬間、スプリングの振動が、高遠がベッドから抜け出したことをおれに伝えた。

「…うそ…」

しばらくして、ぽつりと零された呟き。
その、頼りなげな声に、おれは反応してしまっていた。
枕から顔を上げて、その声のした方へと顔を向ける。そこは、大きな姿見が置いてある場所。
案の定、高遠はそこで、自分の姿を見ていた。

「…はじめ…ぼく…どうしてしまったんでしょう…?」

全裸でそこに佇んでいるのは、紛れも無く、高遠で。
なのにその姿は、いつも見慣れた男性のものではなく、完全に、女性の形をしていた。
細い首、全体的に丸みを帯びた華奢な身体、丸く柔らかそうな胸、引き締まったウエスト、そして、ちゃんと腰がある。女性特有の滑らかなラインで。
…着いていたはずのモノは、跡形も見えない。綺麗に無くなっていた。

「どう見ても、女性…ですよねえ?」

…でも、鏡の前で腰に両手を当てて、全裸で仁王立ちってのは、女のすることじゃ無いと思うぞ? たぶん…

「ふ~ん」

しばらく、その状態で鏡の中の自分の体を眺めていた高遠だったが、ふと、思うことがあったらしい。突然、おれの方に顔を向けると、なぜか、ニッコリと微笑んだ。
…なにか…嫌な予感がするんですけど…すっごく!
そのままつかつかと、…というか、歩きにくそうによたよたと、でも、恥ずかしげも無く全裸のままでおれの傍まで来ると、そのままベッドに乗ってきた。だけじゃなく、おれの上に馬乗りになって来た!
うそっ! 女が全裸で、お、おれの上に乗ってるぞ?! って、高遠なんだけど…
いや! じゃないけど…ちょ、ちょっと待ってくれよ!

「ねえ、はじめ」
「は、はい!」

おれが緊張してるのが可笑しいのか、少し首を傾げながら、高遠はクスリと笑みを零す。
カーテン越しの淡い朝の光が、高遠の白い身体を浮き立たせるように、照らしている。
今、おれの上に乗っている高遠は、まるで、朝の光の中で生まれた女神のように見えた。
無防備に何も隠さず、恥じらいも見せず、けれど、それがかえって無垢な気がした。

「はじめ…」

もう一度、高遠はおれを呼んだ。そして、ゆっくりと体を倒して、おれの上に圧し掛かってくる。
高遠の長い前髪が、おれの顔に掛かって、そして、くちびるが、重なる。
高遠の身体に腕を回すと、いつもよりも柔らかな手触りで、そしていつもよりも華奢で、ひとまわりほど小さくなっているような、気がした。
胸に当たる感覚が、柔らかい。少し、おかしな気分になりそうになる。
…って、朝っぱらから、なに考えてんだ、おれ!
とか、思ってたら…

「ねえ、はじめ…しましょう…」

くちびるを離すと、高遠はそう言って、おれのパジャマのボタンを外し始めた。

「え、えええ?! ちょ、ちょっと待てって! す、するって…ええ?!」
「モノは試しって言葉があるじゃないですか。とりあえず、やってみましょうv」
「ええええ?!」

目の前の綺麗な女は…女になっても、やっぱり高遠だった…



05/09/17
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え~~~。なんと申しますか…腐れた脳の産物でございます…
絵日記で描いた、受け高遠イラから、妄想を膨らましてしまった結果が、これです(滝汗)。
じつは、あまり知ってらっしゃる方は少ないでしょうが、青池保子さまの迷作、『イブの息子たち』のパロディーにもなっております。
子供の頃、読んでた本なんですけど、今、考えると、あの頃から腐ってたのね、ワタシ…

非常に、高遠くんがエロいお姉さんに、成り果ててしまいました(泣)。
ええ、ほんとは『エロいお姉さんは好きですか』っていう題にしようかと、悩んだくらいです。
なもんで、この続きの2は裏に置く予定ですv

すいません、石は、投げないでくださいね…

05/09/18UP
14/09/30再UP
-竹流-


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