ご注意

表の作品ですが、かなり、シチュエーションが怪しげです。
下品な表現もあるかもしれませんが、それでもOKな方のみ、このままスクロールしてください。













Change!Ⅲ





「………あの、たかとお…」
「なんですか?」

すぐ目の前で、透けるような月色の不思議な眼が、熱に浮かされた瞳におれを映している。
顔に掛かる漆黒の髪は、まるで、白い肌を引き立たせるかのようにさらさらと頬に零れ、その美貌を強調している。
一瞬、見とれて、言葉が出ないでいると、また、高遠の紅い唇がおれの唇に触れようとするから、慌てておれは、唇を手のひらでガードした。

「~~~もう、勘弁してくれよ~」
「若いくせに、もう、リタイアなんですか?」
「あんたがおかしいんだって! 絶対!」
「おかしいって…、人をそんな風に言うもんじゃありません!」

…お母さんみたいなことを、この状態で言うか? ふつう?

そう、もう昼近いというのに、おれたちはまだベッドの上にいて、まだ裸でいて、しかも、再度のおねだりを高遠に食らっている最中だったりするのだ。
おれの上に圧し掛かるようにして身体を密着させている高遠が、おれの反撃に、少し憮然とした表情を浮かべている。

でも、そんな表情も色っぽいんだもんなあ…
とか、思ってるときじゃなかった!
また、高遠がなんか仕掛けてくる前に、逃げねば!
だってさ、高遠ってば、男のときでも半端なく攻めてくるくせに、女になっても、やっぱ半端無いんだよ!
あんたに付き合ってたら、死ぬって! 若死にするって! マジでっ!!

ベッドの上を、いざるようにして高遠から離れようとしたら、がっしりと、上から肩を押さえつけられてしまった。
うわあ、万事休すなの? おれ?

「何処へ行くんです?」
にっこりと綺麗に微笑む高遠が、死神に見える気がするんですけど?

「たかとお~、もう、無理だって~。おれ、腹へって死にそうだもん」
咄嗟に口走った言葉だったけれど、これは意外な所で、起死回生の一言だったらしい。
「お腹が空いてるんですか?」
突然、高遠が正気に戻ったような顔をして、おれを見つめた。
「そう言えば、もうお昼になっちゃいますねえ」
おれを押さえつけていた手を離して身体を起こすと、サイドテーブルの上の時計に、素早く視線を走らせる。
おれの目の前には、無防備に晒された綺麗な身体のラインが、カーテン越しとはいえ、朝よりも幾分か明るさを増した光の中で、白く浮かび上がっていた。そして、その白い肌には、おれの残した紅い刻印が、あちらこちらに散っている。
なんだか恥ずかしくて、見ていられなくて。
視線を外したおれに、けれど気付いた様子も無く、高遠は申し訳無さそうな声を出した。
「すみません、少し、わがままが過ぎたようですね。すぐに用意しますから、服を着たらキッチンに来てください」
言うが早いか、横を向いたままのおれの頬に、ちゅっと音を立ててキスを落とすと、そのまま、ベッド脇にかけてあったガウンを羽織って部屋から出て…行こうとしてるらしいんだけど、すごく歩きにくそうだ。

「…大丈夫か? たかとお? 歩くの、手伝った方がいいか?」
「だ、大丈夫です。バランスが悪いだけで、ひとりで歩けますから。これにも慣れておかないと、いつまで女性の姿のままでいるのか、わからないですからね」

いつもの颯爽とした高遠からは、考えられないようなよろよろした歩き方で、けなげにもひとりで部屋を出て行った。
おれの見ている前で、バタンと、硬い音を立てて、扉が閉じられる。
その途端、おれの唇から、安堵の吐息にも似た深いため息が、零れ落ちた。

「た、たすかった…」
いや、もう、心底本気でそう思ったんだって。

手足を伸ばして、ベッドの上に転がっていると、腹の虫が盛大に鳴き始める。
ああ、本当に腹減ってたんだ、おれ。
なんだかんだ言って、高遠に夢中になっていて、全然、気がついていなかったらしい。
思わず、苦笑が浮かんでしまう。
朝、目が覚めてから今まで、一歩もベッドから降りてない。
ずっと、高遠と触れ合って、睦み合っていた。

ひとりになって、辺りが静かになると、色々と思い出してしまう。
ぼんやりと宙に泳がせている視線が、そこにあるものを捉えずに、勝手に記憶の中を彷徨い始める。

白い、肢体。
柔らかな、手触り。
開かれた身体の、その、奥。
思い出すだけで、また、熱を帯びてしまいそうな気がした。

「…おれ、たかとおを…抱いたんだよなあ…」
言葉にすると、妙に気恥ずかしくて、蒼い寝室の中で、ひとりで赤くなっちまったりしてな。
「あ~~~、駄目だ、駄目だ! さっさと服着ちまおう!」
よっと、勢いをつけて起き上がると、ようやくベッドから抜け出したおれは、着替えを手にしながらつくづく思う。

…朝っぱらから…って、もう昼か。おれ、すでに、かなり疲れちゃってるんだけど…なんでたかとおは、あんなに元気なわけ?
ってか、男の時だって…
おれ、あんなに頑張れそうに無いんだけどなあ…
もしかして、おれが、弱いだけなのかな?

今度のため息は、かなり、重苦しかった。



ヨーロッパのこの辺は、やはり、少し日本よりも寒くなるのが早い気がする。
空気が、乾燥しているというのもあるかもしれないし、緯度的にも、日本より少し高い位置にあるからと言うのも、その理由の一つだろう。
少し薄手のセーターを着込んで、おれが寝室のドアを開けたのは、高遠に遅れること、2,3分というところだろうか。
もしかして、ガウン一枚だけでまだいるのだとしたら、寒いんじゃないかということに気がついて、慌てて部屋を出ていた。
もちろん、キッチンにも備え付けの暖房器具はあるのだが、高遠はあまり普段から使わないのだ。
今は女性の姿をしている高遠に、寒い思いをさせてまで、自分のために動いて欲しくなんか無い。そんな、純粋な気持ちで、おれはキッチンのドアを開けていた。

「あっ、はじめv」
ドアを開けるなり、キッチンに立つ高遠の姿が、おれの眼に飛び込んできた。
エプロンをつけて、初々しい新妻のように、頬を染めながらおれを振り返る。
…のは、いいんだが…
思わずおれは、ノブを握って、ドアを開けた状態のまま、その場に凍り付いていた。

「似合いません?」
たかとおが、小首を傾げながらおれに尋ねてくる。
…いや、そんなことも、無いと…思うけど…

「やっぱり、男物のエプロンじゃ、駄目ですかね?」
いつも使っている、黒い胸当て付きのエプロンの裾をつまんで、片手は腰にあてがいながら、う~んと唸ったりして。
…いや、たかとお、問題はそこじゃ、無いと思うんですけど…

「じゃあ今度、カワイイの買ってきますv」
「ちょっと待てーっ!!!」

ようやく、おれの喉から声が出た。
しかも、震えて裏返ってるし。
正直、今まで金縛ってましたって!

「なんですか?」
きょとんとした顔で、高遠がおれを見る。
うわあ、前からそうじゃないかとは、思ってたけど…
やっぱり、この人って、…天然なんだ…

「あ、あんた、なんちゅう格好をしてるんだよ…」
「なんちゅう格好って、言われても、見たまんまですけど?」
悪びれもせず、目の前で、キッチンの流し台にもたれ掛かりながら、腕を組んでニッコリと笑う高遠は、いつもと同じような雰囲気を漂わせて、そこにいるんだけど。
だけど…

素肌に、エプロン一枚だけの姿で、そこに立っているのだ!

よりにもよって、裸エプロンですかーっ!!!!
どんだけお約束をクリアしたいんだっ! あんたはっ!!

もう、顔が燃えるように熱くって、自分が真っ赤になってしまってるのが、恥ずかしいくらいわかってしまって。
出来たら逃げ出したいのに、ぶるぶると身体が震えて、ノブから手が離れない。
視線を外したいのに、釘付けになってしまって、高遠以外、目に入らない。

「はじめ…」
高遠が、おれの傍にやってくる。
ごくりと、おれは唾を飲み込んだ。
黒い、男物の直線的な何の飾りも無いエプロン。
禁欲的なそれが逆に、隠し切れない白い素肌を、丸いそのふくらみを、悩ましく見せ付けているようで…

はっきり言って、ものすげえ、エロいっ!!!
うわあ~~~! こっち来んな! たかとお!!
お、おれに近寄るんじゃねえ!!!

「もう、こんなに赤くなっちゃって、かわいいですねえ、はじめはv 」
クスクス笑いながら、おれの前まで来ると、固まっているおれの身体に腕を回して、ぎゅっと抱きしめてきた。

どうしよ~~~!
これ以上ヤッたら、おれ、死にます!!
って、あれ? いつものポジションっぽく収まって、妙にホッとした気分になったりして?

だって、こうして目の前に立つ高遠は、やっぱりおれよりも背が高いんだよな。
まぁ、女になったからって、身長まで変わらんか。
だから、立ったまま抱きしめられると、いつもの位置に納まる感じで。
やっぱり、高遠はたかとおだな、なんて実感して、安心したりして。
そんでもって、グラマラスでスレンダーバディで。
それが、裸エプロンで。
もう、この、ギリギリ隠れてる感じが、物凄くエロくって!
…って、あれえ?! 連想が、変なほうに戻ってるじゃん! おれ!?

「あっ…」
たかとおが、おれの身体の変化に気付いて、小さく声を洩らした。
抱きしめていた腕を少し緩めて、おれの顔を覗き込む。
おれは赤くなったまま、悪戯を見つかった子供みたいに、上目遣いに高遠の綺麗な顔を見上げた。
たかとおは何も言わずに、そのまま、おれの頬にそっと口づけて。
「先に、ご飯にしましょうね」
そう柔らかく微笑みながら、やさしげに言った。

「じゃあ、今日のランチは、ぼくがはじめの隣に並んで、食べさせてあげますv 」
「ええっ!? マジでっ?!!」
おれが、マジビビリの表情で見上げても、にっこりと微笑んだまま。
まさか、「はい、あ~んしてv 」とか、しないよな?…って、なんかすッごく嬉しそう!
も、もしかして、やる気なんですか? 
ああ、なんか、こいつならやりかねない気がしてきた! 
いったい、どこまでノリノリなんだよ! あんたはっ!!!

とか、考えていたら、最後に止めを刺された。

「その後で、テーブルプレイってのも、楽しそうですよねv 」

あんた、もしかして、腹上死狙って多額の保険金とか、おれに掛けてない…よね?



05/11/30   
BACK⇔NEXT
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久しぶりに、『Change!』更新ですv
いやあ、普通の高遠ファンの方、ごめんなさい! はいっ! いきなり謝ります!
ええ、今回のテーマは、ずばり! 裸エプロン! もう、永遠の憧れ(誰の?)ですよね!
しかし、このシリーズの「お茶目で非常識な高遠くんv」どこまで書いちゃう気なんでしょう?
このお話は、シリーズ通して、すべてエロく仕上がってる気がします。表でもv
でも、意外とワタシは、このシリーズの高遠くん、お気に入りなんですよv
バイタリティー溢れる感じでv 
はじめちゃんも違う形で振り回されてて、自分的にすごく楽しいvv
同じように、楽しんでいただける方がいることを、願って…

05/11/30UP
14/09/30再UP
-竹流-


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