KISS







まず、額に。
それから、瞼に。

そして、頬から首筋へと、ゆっくりと滑るように。
羽根が、触れるように。
柔らかく、這い回る。

前開きの服のボタンを、彼の、白いしなやかな指先が、器用に外すと。
開いた胸元へと、それは、降りてゆく。

その温かい湿った感触に、身体は素直に反応して。
熱が、煽られて。
吐息が、おれの唇から、零れ落ちる。

次に、耳元にやってくると。
熱い息と共に、くすぐったさと、背筋を走る痺れを与えられて。
なにも、考えられなくなって。
もう、どうしようもなくなってしまった。

「…お願い…そんなに…焦らさないで…」

おれが、根負けしたみたいに言うと。
クスリと笑う気配がして。

「もう、降参ですか?」

やさしい声が、そっと、囁く。

目を閉じたまま、頷いて。
ねだるように、少し、開くと。

ようやくそれは、唇に。

舞い降りた。



06/02/08   了

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え〜と、雑文ですから。
ってことで(笑)。
ええ、なんとなく、書きたかったんです///

06/02/08UP
−新月

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