Wake up
柔らかくなり始めた日差しが、カーテンを開け放った窓辺から、まだ眠っているきみの上に降り注ぐ。
僅かに褐色を帯びたきみの髪が、綺麗に陽の光を弾いている。
深い眠りに落ちていたらしいきみは、突然、舞い降りた光に、眩しそうに顔を顰めながら。
それでもまだ眠りにしがみつこうとするのか、寝返りを打つと、また、安らかな寝息を立て始めた。
柔らかな髪を、少し乱して、肌に纏わりつかせたままで。
何を夢見ているのか、穏やかな笑みを、微かに、浮かべる。
幸せそうなきみの寝顔を見ていると、このまま、寝かせておいてあげたいと思うけれど。
でも、もう起こさないとね。
朝寝坊なきみを起こすのは、いつも、ぼくの仕事で。
その方法は、そのときのぼくの気分によって、様々で。
その度にきみは、怒ったり困ったり笑ったり、色んな表情をぼくに見せてくれる。
それが楽しくて、朝から度を越してしまうことも、まあ、時々ありますけど…
さて、今朝は、どうやって起こしましょうか。
とりあえず、ぼくの大切な眠り姫に、目覚めを促す、キスを。
おはよう、はじめ、もう、朝ですよ
早く、その光に満ちた瞳に、ぼくを捉えて。
幸せな一日の始まりを、その唇で、告げて。
「おはよ…たかと…」と。
春の日差しよりも、甘く、柔らかな、声で。
06/03/30 了
_____________________
06/03/30UP
−新月−
+もどる+
|