狂気の桜
光り輝きながら、薄桃色の花びらが舞う。
深い闇の中で。
差し出した両手は血まみれで。
薄い花びらは、まるでそれを隠すように、一枚、また一枚と張り付いた。
ああ、そうだ。
この両手が、血で染まっていることなど、初めからわかりきっていた。
この頭脳が、狂気に満ちていることなど、言われなくとも知っている。
けれど。
今の自分の方が、狂っているに違いない。
何も謀らず。
何も傷つけず。
ただ、不安におびえる毎日。
ありえない日常。
ありえない感情。
出逢わなければ、きっと知らずにいられたものを。
それでも。
手を伸ばさずには、いられない。
薄桃色の花びらよ。
この血で穢れた、体全部を。
すべて、埋め尽くしてしまってくれ。
薄桃色の花びらが。
この柔らかな、花びらが。
すべて、散りつくしてしまう前に。
狂気にも似た艶やかさで。
乙女のごとき清らかさで。
散り急ぐ、人生のように。
暗闇の中、差し出した手に花びらは纏わる。
柔らかな光を投げかけながら。
それは終焉へと誘(いざな)う、死神の鎌首なのか。
この身に相応しい、終焉ならば。
いっそ清々しいまでに、散って見せよう。
醜く朽ちさらばえた肉体にも、この花びらは、柔らかく振り積んでくれるだろうか。
やさしい恋人の、口づけのように。
在りもしない永遠を、永久の眠りの中で願う。
狂おしいほどの激しさで、きみを恋い慕う。
季節が巡るたびに、薄桃色の花びらを撒き散らせながら。
凛と咲く、美しき花。
つかの間の夢でも、かまわない。
この、血にまみれた両手を差し出して。
きみだけを、求め続ける。
狂気を止めた、想いのままに。
きみだけを、求め続ける。
淡い薄桃色の、花びらが、闇の中に散る。
06/04/21 了
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遅ればせながら、桜ネタ。
って、遅すぎやろ!!!
しかも、映画の題パクってる!!!!
観てないんですけどね、気になる題名だったんですよ。
んで、書きかけのまま忘れていたという理由で、アップが遅くなりました。
ファイルの中、最近ごちゃごちゃといっぱいあって、どれがどれやらで(汗)。
大体が、アップしている題とファイル内の題が違うことが多いので、余計にややこしい。
もうちょっと、整理しようよ、ワタシ…
なんだかよくわからない上に、『狂い咲く花』被ってるやん!ですが、勘弁してやってください。
06/04/21UP
−新月−
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