蜉蝣
「好き…好きだよ…」
「どうしたんですか? は…」
言いかけた言葉を、閉じ込めてしまうように、くちびるで塞いで。
首に絡ませた腕に力を込めて、あなたを引き寄せる。
あなたはすぐに、おれの身体を、強く抱きしめて。
おれの拙い口吻けに、答えてくれる。
柔らかな舌先を、おれの舌に絡めて、甘い痺れを与えてくれる。
どうしてかな?
ただ、それだけで、泣きたいくらい幸せな気持ちになるんだ。
きっと、おれたちは、誰よりも幸せで。
きっと、誰よりも、辛い恋をしているのだろう。
ずっと、口吻けて。
ずっと、抱きしめて。
ずっと、傍にいて。
それが、見果てぬ夢だと、知っているから。
時々、怖くなるんだよ。
あなたの優しさが。
自分の、想いの深さが。
いつか、壊れてしまいそうで。
限りある命を、確かめ合うように。
愛し合うおれたちは。
まるで、蜉蝣みたいだと、笑ったら。
何も言わずに、少し寂しそうに。
あなたも。
笑った。
06/07/31 了
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なんとなく、突発的に書きたくなりました。
なんでかな? なんだか、とっても、泣きたいような気分で。
うん、ただ、それだけ。
06/07/31UP
−新月−
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